処刑バッヂ
屋上で見たジオラマのような街を思い出すと、途端に寒気を感じて身震いをした。


「大丈夫か?」


涼希がすぐに肩を抱きしめて温めてくれる。


色々なことが起こって汗をかいていたけれど、徐々に寒さが戻ってくるようになっていた。


雪が降るような寒さは感じていなかったハズなのに、今は体の芯から冷たくなりそうだ。


「雪、振るのかな」


涼希も同じことを感じていたのか、窓の外を見てそう呟いた。


「ホワイトクリスマスになるな」


「そんなロマンチックなものじゃないでしょ」


あたしはそう言い、少しだけ笑った。


緊張で固まっていた頬が緩んでいく。


こうして2人だけの時間が穏やかに過ぎて行けばいいのに……。
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