処刑バッヂ
あたしはハッとしてバッヂを握りしめる。


手の中で鳴り続けるアラーム。


「くそっ」


涼希は舌打ちをし、あたしのバッヂと自分のバッヂを手の中に包み込み、強く握りしめた。


音が小さくなる。


寒さは一気に消え去り、背中に嫌な汗が流れて行く。


あたしは呼吸を止めて廊下の様子を伺った。


今の音を梨央とツクシに聞かれただろうか?


廊下からはなんの物音も聞こえてこない。


そのまま数秒が経過し、アラーム音が止まった。


ドッと疲れが押し寄せて来たのか、涼希は大きく胸で呼吸をした。
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