処刑バッヂ
「2人とも気が付かなかったみたい」


そう言うと、涼希は「あぁ」と、頷いた。


「ちょっと待ってろよ。これくらいから音を防ぐことができるかもしれない」


涼希は何か思いついたようにそう言い、バッヂをあたしに返すと立ち上がった。


そのまま教室後方にあるロッカーへと向かう。


そこには家庭科の授業で使うミシンや布が置かれているのだ。


「なにするの?」


あたしは涼希について歩き、そう聞いた。


「このバッヂを布でくるむんだ。手の中に包み込んだだけでも音が小さくなったから、きっと効果がある」


そう言いながらフェルトを数枚取り出す涼希。


「そっか。それなら隠れてる間ならきっと見つかりにくくなるね」


あたしは少しの希望を見出し、そう言った。
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