処刑バッヂ
耳を澄ましていると、クチャクチャと何かを粗食して飲みこむような音も聞こえて来る。


何か食べているのだろう。


こんな状況で食欲が出るなんて、それだけでも異常だと感じられた。


涼希がステンレスのテーブルへと手を伸ばす。


その先にあるのは肉切膨張だ。


普通の包丁より大きなそれをキツク握りしめる涼希。


やめて。


咄嗟にそう言いかけた言葉を、グッと押し込んだ。


ここで声を出したら相手に気が付かれてしまうかもしれない。


クチャクチャという音はまだ続いていて、必死に何かを食べ続けているのがわかった。


その音を聞いているだけで気分が悪くなってくる。


涼希がゆっくりと相手に近づいていく。
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