処刑バッヂ
「こんな非現実的な空間で、本気で犯人捜しをはじめる奴がいると思うか?」


そう聞かれると、答えられなかった。


犯人がいるとしても、普通の人間に隔離空間が作れるとは思えない。


「犯人はきっと人間じゃない。こんな空間を作ることができるなら、スマホに勝手にメッセージを送ることだってできそうじゃないか?」


「そうだけど……」


超人的な何者かの能力にも限界があるのかもしれない。


「なぁ、もしかして犯人は不完全なんじゃないか?」


「え?」


あたしは涼希の言葉に瞬きを繰り返した。


「この空間を作り出す事はできるけれど、できないことも多い。そんな存在」


「そんなこと言われても……」
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