処刑バッヂ
幸いにも食堂には入って来なかったけれど、ここにも長居するワケにはいかなさそうだ。


あたしたちは立ち上がり、入口へと足を進めた。


あたしの前を歩く涼希の手にはキツク包丁が握りしめられている。


それがあるだけで、少しは気分が軽くなるようだった。


「これ、見ろよ」


涼希がそう言い、廊下を照らし出した。


見るとそこには血が点々を落ちているのだ。


「和馬の血かな……」


涼希へ噛みつこうとした麻央の姿を思い出す。


和馬は晴康に噛みつかれ、逃げ出したのかもしれない。


「向こうへ続いてる」


涼希が血痕を頼りに歩き出す。


「2人の後を追いかけたら、捕まるかもしれないよ?」


慌てて後ろからそう声をかけた。
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