ヴァーチャル・リアリティ
そう言いながらも、アユもなにも期待していないのが見て取れた。


男子3人は建物の近くまで移動したが、警告アラーム音はならない。


とりあえずは近づいてもよさそうだ。


ここでぼーっと待っているのも暇なので、あたしたち3人は建物へと近づいて行った。


近くで見ても長方形の箱にしか見えない。


「なんだろうね、この建物」


梨花子の質問に「ゲームセンター」と、苦笑いを浮かべて返事をする陽大。


自分がここまでみんなを連れてきてしまっているから、もう笑うしかないみたいだ。


「裏にもなにもなかったぞ」


建物をグルッと一周してきた悠太郎が首をひねりながら戻って来た。


「やっぱり、ここじゃないんだよ」


あたしはため息交じりにそう言った。
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