ヴァーチャル・リアリティ
「テレビで見たVRゲームのゴーグルと一緒!」


そう言ってゴーグルを指さしている。


「ってことは、場所はここで合ってるみたいだな」


陽大はそう言い、もう1度コンクリートの建物を眺めた。


ドアは開いたけれど、中に入る勇気はない。


そもそも誰もいないのが悪かった。


あたしたちは再びその場で棒立ちになってしまった。


誰かが出てこないか期待して見ても、やっぱり人の気配は感じられない。


「最新ゲームセンターってことは、人がいなくてもおかしくはないよね」


アユが気が付いたようにそう言った。


「あぁ、確かに。店員は必要ないのかも」


そう言ったのは悠太郎だった。


「だとしたら、俺たちが中に入れば何か変わるってことかな」


晴道がそう言い、一歩足を踏み出した。
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