ヴァーチャル・リアリティ
陽大の言葉を聞いた瞬間、目が覚めた。


白い天井が見える。


荒い息遣いは自分のものだ。


全身がグッショリと汗に濡れていて気持ち悪い。


あたしはゆっくりと顔だけ動かして、部屋の中を確認した。


「結愛……起きた?」


その声に逆を向くと、上半身を起こしたアユがいた。


アユの表情には恐怖が滲んでいる。


その向こうにはまだ目を閉じたままの悠太郎がいる。


「ここって……」


そう呟いて上半身を起こしたとき、アユの右腕がない事に気が付いた。
< 138 / 220 >

この作品をシェア

pagetop