ヴァーチャル・リアリティ
「大丈夫だよ。これをやったのは結愛じゃない」


その言葉に、あたしは心底安堵した。


ジワリと目に熱い涙が浮かんでくるのを感じる。


「俺も同じだ。相手は梨花子じゃなかった」


会話を聞いていた悠太郎がそう言って来た。


「じゃあ一体誰が?」


そう質問すると、2人は難しい表情で左右に首を振った。


「あたしたちもゴーグルを付けていて、画像に見えていたのは結愛の姿だったの。だけど実際は男だったと思う。少し力でねじ伏せられて、抵抗できなくて……」


「俺は抵抗したけど、ゴーグルが食い込んできて抵抗できなくされた。あれは女1人の力じゃない」


その言葉で考えられるのは1つだけだった。
< 141 / 220 >

この作品をシェア

pagetop