ヴァーチャル・リアリティ
モーター音を響かせながらゆっくりと扉が開いていく。


建物の中は真っ暗になるかと思いきや、外と変わらない明るさが続いていた。


どこに明かりがあるのかと思わず探してしまう。


『いらっしゃいませ。相田陽大さまと、そのお連れ様ですね』


アナウンスの質問に、あたしたちは小さく頷いた。


『テーブルの上にあるゴーグルを付けてください』


そう言われ、あたしたちはそれぞれテーブルへと近づいていく。


「VRでいろんなゲームが体験できるのかな?」


あたしの隣で梨花子が言う。


「たぶんそうだよね。見たところこの部屋しかないみたいだし、ゴーグルしかないんだし」


そう返事をした時だった。


「イテッ!」


と、悠太郎が声を上げた。


見るとすでにゴーグルを装着している。
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