ヴァーチャル・リアリティ
次に現れたのは部屋の中だった。


視界の中にあるのはキッチンと玄関、ダイニングテーブルの類だった。


見た感じ狭いアパートのようだけれど、やけに大きく感じられた。


ここはどこだろうか。


部屋の中を確認したかったが、その場で足踏みをしてみても動くことができなかった。


どうやらここではあたしの自由が利かないらしい。


部屋の中にはあたし以外に2人の大人がいるが、見覚えはなかった。


知らない2人は出かける準備を整えたようで、玄関へと向かって行く。


そこであたしの体が慌てたように2人を追いかけた。


「どこに行くの? 僕も行く!」


小さな手が2人へ向けてめいいっぱい伸ばされる。
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