ヴァーチャル・リアリティ
「どうした?」


晴道が悠太郎へ聞く。


「いや、なんかチクッとした気がしたけど……。うお、映像が流れ始めた!」


悠太郎がそう声を上げて、ゴーグルを付けたまま周囲を見回し始めた。


どんな映像が流れてるんだろう。


好奇心が勝り、あたしはゴーグルを手に取った。


他のメンバーも次々とゴーグルを装着して行く。


ゴーグルにはなんの映像も流れておらず、あたしは瞬きを繰り返す。


その時だった。


チクリとした痛みが一瞬こめかみに走った気がした。


微かに顔をしかめてもう一度目を開けると、そこには建物内の映像が映し出されていた。


「うわぁ、すごいリアル!」


あたしの隣で梨花子が声をあげている。
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