ヴァーチャル・リアリティ
ほかのみんなもゴーグルに映像が映し出されているようだ。


しかし、メンバーの姿は映し出されておらず、みんなの声だけ聞こえてきている状態だった。


映像の中には入って来た建物と同じものが写っているだけで、他にはなにもない。


これからなにがはじまるのだろうと、期待と不安が胸の中に渦巻き始める。


『みなさま、準備は整いましたね? それでは、これから扉を開けていただきます』


アナウンスの声がしたのと同時に、目の前に大きな扉が現れた。


『どうぞ、手を伸ばしてください』


そう言われてあたしはそっと右手を伸ばす。


すると、手の先にドアノブの感触を見つけることができた。


どうやらこの扉は本当にあるものらしい。
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