ヴァーチャル・リアリティ
そう約束して、2度目の夏休みが来た。


『ねぇ、あの噂のこと覚えてる?』


夏休み直前の放課後、教室を出ようとするあたしの腕を掴んで百花がそう聞いて来た。


『え? なんだっけ?』


『やっぱり忘れてる! 無人島にある建物の会談話しだよ!』


百花が目を輝かせてそう言って来た。


そう言えば、随分前にそんな噂話を聞いたことがあるかもしれない。


あたしは記憶を辿りながら百花を見た。


『それがどうかした?』


『いつか行こうねって約束したでしょ!』


すっかり忘れているあたしを見て、百花は眉間にシワを寄せ、声を荒げてそう言った。
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