ヴァーチャル・リアリティ
あたしは突然開いたドアに唖然として目を見開いていた。


「なにこれ、こんなドア見たことある?」


「ないない、ないってば!!」


百花はあたしの質問に過剰に反応し、左右に首を振った。


「だよね。すごいね、この建物」


あたしの中の好奇心がうずき始める。


足が、自然と一歩前へ踏み出していた。


「ちょっと真奈美!?」


外から建物の中を確認してみると、そこにも灰色の空間が広がっている。


テーブルがあり、その上にゴーグルが置かれているのが見えた。


それ以外にはなにもない空間だ。
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