ヴァーチャル・リアリティ
『ここはVRのゲームセンターです。テーブルの上のゴーグルを着用してください』


淡々とした女性の声に、あたしと百花は顔を見合わせた。


予想通りVRが体験できる施設みたいだけれど、こんな風に密室になるのは初めての体験だ。


「どうする?」


百花が表情を歪めてそうきいてきた。


「あたしたち間違えて入ったの。出口はどこ?」


アナウンスが流れると言う事は、誰かが見ているはずだった。


『自分からのリタイアはできません。リタイヤできる時はゲームに失敗したとき、ルールを破った時のみです』


その返事にあたしはテーブルの上のゴーグルを見つめた。
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