ヴァーチャル・リアリティ
至近距離で見るとかなり背が高く、ひるんでしまいそうになる。


けれど、両手でキツクバッドを握りしめた。


きっと一瞬だ。


こんなゲームすぐに終る。


自分自身にそう言い聞かせてバッドを振り上げた。


大きく息を吸い込み、力まかせに男の頭めがけて振り下ろす。


ゴッと鈍い音がして手のひらに衝撃が伝わって来る。


その痺れるような痛みにバッドを落としてしまいそうになりながら、あたしはグッと踏ん張り再びバッドを振り上げた。


男がこちらへ振り返るより先にバッドを振り下ろす。


それは男の横顔に食い込んだ。
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