ヴァーチャル・リアリティ
さっきよりも柔らかな手ごたえ。


まるでひき肉をこねるような感触がして、男の頬が陥没した。


男が目を見開いてあたしを見つめながら、崩れ落ちて行く。


しかし、まだ死んではいなかった。


陥没した頬を押さえて驚愕の表情を浮かべている。


あたしはその顔めがけて、またバッドを振り下ろした。


男の悲鳴が聞こえてきて血が飛び散った。


バッドの先端は目玉に食い込み、引き抜くと男の左目がゴロリとこぼれて落ちた。


やけにリアルな映像に吐き気が込み上げて来る。


隣から百花の荒い息遣いも聞こえて来た。


あたしは歯を食いしばり、何度も何度も男の顔面をバッドで殴りつけた。
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