ヴァーチャル・リアリティ
体感まで連動しているゲームに感動を覚えながらも、あたしはドアを開けてその場で足踏みをしてみた。


部屋の中にスムーズに入って行くことができる。


ここがあの長方形の箱の中だなんてこと、すっかり忘れてしまいそうだ。


ドアは音を立ててしまり、振り向いて開けようとしてももう開かなくなっている。


「なかなか本格的だな」


陽大の声が聞こえて来る。


「本当に誰かの部屋の中にいるみたいだよね」


あたしはそう返事をした。


映像の中の部屋には家具があり、生活感のあるリビングが広がっていた。


白いテーブルにソファ、テレビに壁掛け時計。


置かれているクッションなど、どれもすごくリアルだ。
< 20 / 220 >

この作品をシェア

pagetop