ヴァーチャル・リアリティ
次に鈍い痛みを感じた。


なにかで殴られたのかもしれない。


そう思って後方へ視線を向けると、そこにはフライパンを持った女性が仁王立ちしていた。


さっき見た女性よりも、もっと年上に見える。


その女性はあたしを見おろしてねめつけている。


「役立たずが!」


突然そう罵ったかと思うと、百花の腕を掴んで無理やり立たせたのだ。


「痛い!!」


百花が悲鳴を上げて顔を歪める。


「ちょっと……なにすんの!」


百花の体がコンロへと引きずられて行くのを見て、あたしは慌てて立ち上がった。


後頭部に受けた衝撃のせいで、メマイがする。
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