ヴァーチャル・リアリティ
この部屋はなに?


今度はこの女性を殺せってこと?


部屋のどこかに指示が出ているのかもしれないが、それを確認する暇がない。


百花は泣きじゃくりながら腕を冷やしている。


「晴道! 許さないよ!」


はるみち……?


さっきのバッドに書かれていた名前と同じだ。


もしかして、この名前がなにかのヒントになってるんだろうか?


考える暇も与えられず、フライパンが目前まで迫って来る。


あたしは咄嗟に身を屈めてテーブルの下へと移動していた。


戸棚を開く音がしてコップや皿が投げつけられる。


あたしたちの逃げ道を塞ぐように散乱する破片。
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