ヴァーチャル・リアリティ
「百花! 大丈夫!?」


「あたしは大丈夫!」


そんな声と同時にテーブルの下に何かが投げ込まれた。


包丁だ。


機転をきかせた百花が武器をくれたのだ。


このゲームでのクリア条件は知らされていないが、戦わないと殺されてしまう。


あたしは包丁を握りしめてテーブルの外へ顔を出した。


百花が両手で包丁を握りしめて、女性へ向かって駆け出したところだった。


女性はフライパンを振り上げる。


「百花!」


あたしはテーブルの下から這い出し、女性の後ろへと回った。
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