ヴァーチャル・リアリティ
「大丈夫だよ。きっとまた会おうね」


卒業式まであと1か月はあるのに、もうすでに感慨深い。


今は卒業式までの中休みで、この間に仲の良いメンバー6人で卒業旅行へ来ていた。


行先は東京の離れ島で、人は住んでいないらしい。


どうして無人島に行くのかというと……。


「あの島だ!」


そう言ったのは相田陽大(アイダ ヨウダイ)だった。


よく日焼けした陽大は笑顔で見えて来た小さな島を指さしている。


「あの島か……。なにもなさそうだな」


楽しんでいる陽大とは対照的に、桜庭晴道(サクラニワ ハルミチ)は冷静な感想を言う。


「まぁまぁ、いいじゃん。小さな砂浜もあるみたいだし、プライベートビーチ感覚だね!」


ウキウキとした口調でそう言ったのは黒崎アユだった。


アユはショートカットの髪を揺らしてあたしの隣にたった。


「夏なら良かったけどね」


あたしはアユへ向けてそう言った。
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