ヴァーチャル・リアリティ
さっき何個か鍵穴に差し込んだだけで、ちゃんとは探せていない。


壁か、テーブルか。


どっちかが嘘ということになる。


あたしは自分の心臓が早くなっていくのに気が付いた。


こんなリアルなVR世界で、壁が徐々に迫ってきている状態だ。


梨花子も陽大も事態は把握しているはずなのに、どうしてこんな嘘をつくんだろう。


あたしはこの場から動く事ができなくなってしまっていた。


どこを探せばいいのかわからない。


時間は刻一刻と過ぎて行く。


自然と拳を握りしめていて、汗が滲んできていた。
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