ヴァーチャル・リアリティ
「もしかして、今回は部屋ごとに違うのか?」


ハッと息を飲む音が聞こえて来た後、晴道がそう言った。


「え、そんな……」


アユの困った声。


「嘘だろ。お前ら、テーブルの上にはなかったのか?」


そう聞いたのは陽大だ。


「なかった。壁も探したけど、ダメだった」


晴道が言う。


「それじゃヒントを教えることもできないじゃん」


梨花子が不服そうな声を漏らす。


「仕方ない。それぞれで頑張って探すしかないか」


悠太郎が諦めたようにそう呟く。


あたしも、みんなの会話を聞きながらテーブルの上を探し始めていた。
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