ヴァーチャル・リアリティ
裏切者
キッチン内でも脱出するのだろう。


そう考えたあたしはまずドアの鍵を確認することにした。


数字か、鍵か、暗号文か。


それがわからなければ外へ出る事ができない。


ドアの前まで移動してきたあたしは、一瞬呼吸をするのも忘れていた。


「え……?」


小さく呟く。


すりガラス戸にあるはずの、ドアノブがないのだ。


数字や英語を打ち込むためのパネルもなければ、鍵穴もない。


「なにこれ、どういう事?」


パニックを起こしかける頭を必死で冷静にしようと声を出す。
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