ヴァーチャル・リアリティ
「どうした?」


すぐに陽大が返事をしてくれた。


「ドアを見て。ドアノブがないの」


「冗談だろ」


陽大の声が焦りの色を見せる。


梨花子と晴道もドアを確認したようで、口々に戸惑いの色を表し始める。


「これじゃキッチンから出る事ができないじゃん!」


梨花子が大きな声でそう言った。


「落ち着けよ、きっとなにかあるハズだ」


陽大はそう言い、部屋中を探し始めた様子だ。


あたしもその場で足踏みを繰り返しキッチンの中を確認していく。
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