ヴァーチャル・リアリティ
銀色のシンクに、ブルーのタイルの壁。


その横には白い冷蔵庫があり、こげ茶色の食器棚があり……。


本当に、ごく普通のキッチンだ。


どうすればいいのか、どんなヒントを探せばいいのかわからない。


これじゃ行き詰ったも同然だった。


『この部屋では鍵ではなく、裏切者を探していただきます』


あたしたちが焦っているのを十分に観察したころ、アナウンスがそう告げた。


あたしは動きを止めて天井を見上げる。


オレンジ色の優しい蛍光灯に目を細めた。


裏切者ってなに……?


そう思った時だった。


キッチンのテーブルの上に、今残っている4人の映像が浮かび上がって来たのだ。


それはこの建物に入って来た時に撮影されたものらしく、全員物珍し気な表情を浮かべている。


『裏切者だと思う人物の写真を手に持ってください』
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