ヴァーチャル・リアリティ
「裏切者ってなんだろう」


梨花子が呟く声がする。


「わからない。どういう意味だ?」


晴道も混乱している様子だ。


しかし、アナウンスはそれ以上の説明を続けようとはしなかった。


「悪口とか、喧嘩とか?」


あたしは思いついたことをそのまま言ってみた。


仲間を裏切るというと、大抵そう考えに行きつくんじゃないだろうか。


「それか、仲間外れかな?」


そう言ったのは梨花子だった。


「仲間外れ?」


陽大が聞く。


「うん。この中であたしだけ違うでしょ」


一瞬梨花子の言っていることの意味がわからなかったけれど、すぐに思い出した。


梨花子だけ、高校に入学してから仲良くなったメンバーなのだ。
< 85 / 220 >

この作品をシェア

pagetop