ヴァーチャル・リアリティ
「でも、それって裏切りじゃないじゃん」


あたしは言った。アナウンスは裏切者を探せと言ったのだ。


仲間外れではない。


「そうだけど……」


梨花子は困ったような声を出す。


今の梨花子の考えを否定してしまうと、本当に答えがみつからなくなってしまうからだ。


「俺たちを裏切ってる奴がいたってことか?」


陽大の言葉にあたしは「何言ってるの?」と、顔をしかめた。


こんな時にそんな言い方をすると余計に疑心暗鬼になってしまう。


「たぶん、『裏切者』っていうのがヒントなんじゃないか」


冷静にそう言ったのは晴道だった。


「名前とか、イニシャルとかの共通点を探して違う仲間を選ぶとか」


「そうだね。きっとそう言う事なんだよ」


梨花子がすぐに同意した。
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