ヴァーチャル・リアリティ
晴道の意見の方がよほど現実的だった。


陽大には申し訳ないけれど、あたしたちは晴道の意見に賛成だった。


「じゃあ、梨花子が言ってたことも一理あることになるね」


仲間外れという意見を否定したのは自分だけど、これ以上不穏な空気にさせるのは嫌だった。


「でも、それだけならこのキッチンが現れる必要がないから、『裏切者』っていう言葉のヒントがどこかに隠されてるんじゃないか?」


晴道が明るい声でそう言った。


あたしたちを気遣ってくれているのがわかって、嬉しくなる。


「それなら、とにかくキッチン内を探してみようよ。なにか気になる事があったら、すぐに言って」


あたしはそう言い、コンロの方へと近づいて行った。


コンロの下は調味料入れになっているようで、開けてみると醤油やみりんが置かれているのが見えた。
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