ヴァーチャル・リアリティ
陽大の事を疑い始めてから、ずっと胸に引っかかっていた。


そこへこの部屋が現れたのだ。


『裏切者は誰?』


「ねぇ、もう時間がないよ!」


梨花子の声に壁にかけられた時計を確認する。


残り時間が5分を切っている。


途端に焦りが生まれた。


このまま答えが出なければ、全員がリタイアしてしまうことになる。


「早くしないと鬼に襲われる!」


晴道の緊迫した声にあたしは後方を振り向いた。


今までの部屋だって時間制限があり、壁が狭まったり部屋が崩れたりしてきた。


この部屋にも、例外はない。
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