私と彼が知る地に堕ちた天使
「おはよう、悠哉」
「…はよ」
悠哉は表情をあまり表に出さない
周りからは何を考えているかわからないと言われ誤解されやすいけど、だからといって一匹狼というわけではない。
協力する時は積極的に協力する
ただ感情豊かじゃないだけ。
良いふうにいえばクール男子。
それが幼なじみの久我悠哉。
家が近所で母親同士が親友でありママ友でもあるから小さい頃一緒に遊んでいたし一緒に食事に行く時もあった。
今でも交流があるからこそ、こうして一緒に登校している。
幼稚園児の時も小学生の時も中学生の時も一緒に登下校しているから私と悠哉の関係を好き勝手言う人もいるけど無視している。
私に彼氏はいないし悠哉にも彼女はいない。
いたら一緒に通ってない。
「来るの遅い」
「そんなに待たせてないと思うけど」
悠哉が準備するのが早いんだよ。
いつも悠哉が待ってる。
私が待ったことなんてなかった。
弁解するけど、けして私がノロマとかマイペースだからではない。
私が約束の十五分前に家を出たとしても、悠哉はとっくに待っていたりもする。
もし悠哉に彼女ができたとしたら彼女はきっと幸せだろうな…と思う。
悠哉が何を考えているか理解できればね。
「今日は梨沙と帰るから」
「梨沙?……ぁあ、あいつか…?」
首を傾げる悠哉に私はため息をついた
「そろそろ名前と顔を覚えてよ」
「悪い…」
悠哉は人の名前を覚えるのが苦手(特に女子)
というか興味がないらしい。
普段から私以外の女子とは話さないみたいで男子とは話しかければ話すとのこと。
悠哉のクラスメイトから聞いた話によるとクラスの女子は悠哉と話したくても話しかけづらい…という答えを貰った。
休み時間は本を読んでいるか勉強しているか寝ているかのどれか。
威圧感があるわけではないと思うけど…
「二人だけ?確かもう一人…?」
「愛花は拓篤と帰るって。久しぶりの放課後デート」