私と彼が知る地に堕ちた天使
◇
電車から降りると同じ制服を着た生徒がチラホラ見える。
この地域には小学校や中学校はあっても高校は、私たちが通う高校しかないから他校とのトラブルは少ない。
「ふぁ〜眠い」
「いい加減慣れろ」
片道一時間半
慣れようにも慣れない。
今では授業中に寝てしまうことはないけど去年は午後の授業になると寝てしまうことがあり、よく隣の席の人に起こしてもらっていた。
つい寝てしまった時、クスクスと愛花と梨沙に笑われていたのが懐かしい。
拓篤に笑われた時は何故かムカついたけど。
「悠木〜!!久我先輩ー!!」
不意に後ろから声が聞こえて私と悠哉は振り向いた。
声の正体は自転車通学している拓篤の後ろに乗ってる愛花だった。
私が足を止めると悠哉も足を止めて、拓篤私たちの近くに来ると自転車を止めた。
愛花に対して良い印象を持っていない悠哉は顔を背けていて私はそんな悠哉を肘で突いた。
「おはよ愛花、拓篤」
「おはよ〜。相変わらず悠木は久我先輩と仲良く登校なんだね。付き合ってないのが不思議なぐらい」
「愛花は見慣れてるでしょ」
「まぁね。久我先輩もおはようございます」
愛花は自転車から降りると悠哉に近づいた。
悠哉はピクッと体を動かし表情には出さないけれど、嫌なんだろうな…と私にはわかってしまった。
「先輩、おはようございます」
嫌な空気になる前に拓篤が悠哉に挨拶をした
「お前ら、二人乗り禁止だろう」
「わかってます。校門が見えそうになったら愛花を降ろします」
「……知らないからな。おい、行くぞ」
拓篤に二人乗りのことを注意したかと思えば私の腕を掴み急に歩き出した。
しばらくしたら悠哉は腕は放してくれた。
拓篤を心配しているなら素直に言えばいいのにそれができないのが悠哉。
どうでもいい人には注意なんてしないから。
「あの二人が付き合ってるのが理解不能」
「玉砕覚悟で拓篤が告白して今に至るって感じだけど…上手くいってるんじゃない?」
愛花と拓篤の関係に深くは干渉しない。
相談とかされたら話は聞くけどアドバイスなんて私ができるはずもなく、ただ聞いてあげることしかできない。
聞いてくれるだけで満足する場合はまだいいけど、賛同してほしい場合がある時は困るかな。