【完】キミスター♡
そして、帰り道。

少しだけ触れ合う手が愛しくて、私は下を向きながら緋翠の横を歩く。


「海夏?どうしたの?」

「あのさぁ……あのね…?」

「なぁに?」

顔を覗き込むようにして、ん?と聞いてくる緋翠は梅雨の鬱陶しさなんて吹き飛ばすくらい、爽やかで格好良い。

私はなんだか恥ずかしくなって、頬が熱くなる。
そんな私にふわりと笑って頭を撫でてくれた。


「最近、何か考え込んでるけど……私何か、した?」



どきんどきん


鼓動が高鳴って張り裂けそうだ。

でも…でも…。
ちゃんと、緋翠の口から答えを聞きたい。
緋翠の言葉を私に与えて欲しいから。



きゅうう。

握っていた手に力を入れて、緋翠の言葉を待った。


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