【完】キミスター♡
初めての、緋翠とのお祭りデートは、とても新しい発見の連続だった。

実は射的が物凄く上手だったり…。
実は風船が大の苦手だったり…。

りんご飴より、あんず飴の方が好きで、お店のお兄さんとのじゃんけんにも強かったとか。


それはそれは、凄く楽しくて、終始笑いが絶えなかった。


私は、フランクフルトや焼きそばを食べた後、最後にブルーハワイのかき氷を緋翠と2人でシェアして食べ終えてから、境内の少しだけ人がまばらになった場所に座ることを提案した。

「楽しかったねー!」

「ん。そうだね」

「緋翠ってば色々凄いんだもん!びっくりしちゃったよー!」

色んな出来事を思い返して、そう素直に言うと、ぽりぽりと頬を掻いた緋翠が言い難そうにこうぽつりと言った。


「…海夏に、格好いいとこ見せたくて…頑張りました」

「…え…」

「海夏が、自分にもっと自信持ってって言ってくれたから…せめて海夏の前だけでも…いい格好してみたくて…」


…なんでもう、そんなに優しいの?

私は、それが凄く嬉しくて、つつつと緋翠の方に寄ると、ぎゅうっと横から抱き着いた。

「み、海夏?!」

「緋翠、大好きだよ?本当に大好き。私のためにって本当嬉しい…ありがとう」


ちゅ


頬を掠めるだけのキスを落として、そっと離れると、薄暗い境内の中でも緋翠の顔が赤く染まっていることが分かった。


こんな非日常的なことが、これからも沢山続いて、もっともっと幸せになれたらいいのに…私は、そう思わずにはいられない。


ねぇ?
緋翠。
貴方は、とても魅力的な人。
だから、そんな貴方の魅力を、他の人に与えないでね?
これからも、私だけって言ってね?

そんなことを思いながら、私は暫く緋翠の肩に寄り添っていた。


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