【完】キミスター♡

ヒリヒリと擦り切れる想い

「なんで、あんたなんかとっ」

「へぇ?お前知らないの?」


にやり、真人は意地悪く笑う。
私は背筋が寒くなるのを感じざるを得なかった。

「な、にが…?」


このままじゃ、こいつのペースに嵌まる。
分かってはいても、これから何を宣言されるのか、私は気になって仕方がなかった。


「あいつ…前園さんだっけか?浮気してるぞ?」

「…え…?」


落ちてはいけない。
信じてはいけない。

それでも、真人からのその死の宣告は、私を撃ち抜き、身動きが出来ないようにしてしまう。

「うそ」

「だったら自分で確認してみれば?」

私は、その言葉を振り切るようにして、教室を飛び出した。


嘘だよ。
だって、緋翠はいつも私だけって言ってくれるもの。
私だけに優しくしてくれるもの。


まだ、大事な一線を越えていないだけで、私達の間はちゃんと繋がってるもの…。


そして、必死の思いで緋翠の教室へと辿り着く。

……。

そこで目にしてしまったのは…。


「ねぇー?緋翠〜?いつになったらあの子と別れてくれるのー?」


と、緋翠の首にしがみつく見知らぬ先輩と。

「んー。いつだろうね?」


と、面倒臭そうにそう答える緋翠の姿だった。


「…っ」


自分はネガティブだって言って、他の人への興味がないことを、私に散々アピールしてきたくせに。

それが全部、嘘だった?

私は、気付けばつーっと涙を溢していた。
そして、その場から静かに逃げ出して、今度はそのまま校外へと走り出した。




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