【完】キミスター♡
うそつき。
うそつき。

あんなに憂いた緋翠なんか見たことない。
そんなに、面倒くさいんだったら、最初から告白なんてしてこなければよかったのに…。

なんで、このタイミングで…こんな風になってしまうの?

真人の言うとおりになってしまったの?


「…っ」


私は、走り続けた。
途中で、何度かスマホが鳴ったけれど、それでも私は足を止めずに、家まで走った。


「もう、ぐちゃぐちゃだよ…っ」

呟きは震えて、降り出した雨の中に溶ける。
ボロボロと零れ出した涙は、段々と強くなる雨の中で、透明な痛みに変わる。


緋翠。


ねぇ、緋翠。


どれが本物の貴方で。


私の居場所はどこですか…?


聞けない想いを胸に抱えて、私は家の中に入ると、ずるずると玄関のドアを背もたれにして崩れ落ちた。



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