【完】キミスター♡
流れる心情
次の日。
「行ってきます」
覇気のない声で家族に挨拶をして、カチャンと外に出ると、そこには翡翠が立っていた。
「…っ?!」
「おはよ…海夏…」
「ひす、い……?」
そう呼んだ悲しくも愛しい人の目の下には幾重にも隈が重なっていて、切なさをただ寄せていた。
「どうして…」
「こうでもしないと、海夏は話を聞いてくれないと思って…」
「………」
戸惑いながらも、傍に行くと少しだけ安堵したような緋翠。
だけど、沈黙だらけの二人の登校。
そのぎこちなさに、胸がざわめく。
私は俯いたまま、私に歩調を合わせて歩く緋翠の隣にいた。
泣き腫らした顔を見られたくない。
だから、もっと下を向く。
「海夏…?」
「…ん?」
「ごめんね?」
そう謝られて、体が強張る。
胸が張り裂けてしまいそうだ。