【完】キミスター♡
「海夏が悪いことなんか一つもない。本当に全部俺が悪いから…」


そう言って、ほんの少しだけ体を離され視線を合わせられる。

どうしてそんな悲しい顔をうするの?
何がそんなに悪いの…?

私は、じっと緋翠の顔を見つめた。


「ごめんね、海夏…」

ぽつりと呟かれる、心許ない声。

何がどうごめんなのか、私には測れない。
その不安を、緋翠のシャツを掴む事でなんとかやり過ごす。

翡翠も、自分の気持ちをどう表して良いのか分からないようで、歯痒そうに眉間にしわを寄せた。


「楢崎くんと、…話をしたんだ…」

「…え…」


その言い難そうな言葉に、一気に現実へと戻される。

それで翡翠から離れようとするのに、翡翠の腕はぴくりともしない。

「はな、して…」

「離さない。もう二度と。海夏が嫌だって言っても、離せない…」


冷たい指先に体温を移すように翡翠の指が絡んで、翡翠の口唇から言葉が続けられる。


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