家族でも、幼なじみでもなくて。
『ピンポーン』


ん? チャイムの音?

寝起きで頭がうまく働かない。
誰かくる予定だったっけ?

インターホンには、怒った顔の愛海と宥める太一くんの姿があった。

あ! 思い出した!

急いで鍵を開けて頭を下げた。


「愛海! ごめん! ずっと寝てて…」

「気にしてないよ」

「怒ってる?」

「優衣には怒ってないよ? 担任にムカついてただけ」

「そっか…」


私に怒ってたわけじゃなかったのか。
よかった……


「太一くんもありがとう」

「大丈夫だよ。体調はどう?」

「寝たら熱も下がったみたいだし、明日は普通に学校に行けるよ。風邪じゃなくてストレスで熱が出たみたいだから」

「……やっぱり」

「やっぱり?」

「話は全部聞いたよ。陸矢からね」

「ごめんね、優衣ちゃん。嫌がるようなことをするつもりはなかったんだ…」

「なんでりっくんがいるの!? っていうか、もういいよ」

「え?」


私自身がいつまでも引きずってたら、どんどん嫌なことが溜まっていくだけだから。


「反省してるならね。あのさ、嫌がるようなことって、毎日教室に来ることもそれに含まれるんですけど? その件に関してはどうしてくれるんですか?」

「今までみたいなことは絶対にしない。約束するから」

「そんなこと言って信じられるとでも…」

「太一も愛海ちゃんも聞いてて! 僕はもう優衣ちゃんの嫌がることは絶対にしません! ここに宣言します!」

「陸矢…」

「りっくん…?」


突然宣言なんてされても……


「優衣ちゃん、最後に伝えたいことがあるんだけど、いいかな?」

「な、なに?」


いつもとは違う真剣な表情のりっくんに、なぜかドキドキしている自分がいる。

違うって! 勘違いだよ!


りっくんは私の目をまっすぐにみて、ゆっくりと口を開いた。
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