家族でも、幼なじみでもなくて。
「優衣?」

「愛海、太一くん、ごめん。1人になりたい」

「うん。あまり考えすぎないでね。熱出ちゃうから」

「何かあったら連絡しろよ?」

「わかった。ありがとう」


愛海と太一くんが帰った後、また熱が出た。

きっとりっくんのことを考えたからだと思う。

だって、今更やめるって意味わかんないよ。
今までのは何だったの?
毎日好きだって言ってたくせに……
迷惑だったけど。

これからはそれがなくなるってことだよね?
嬉しいことなのに、素直に喜べないのはどうしてだろう?



その日の夜、突然お母さんから電話がかかってきた。


『優衣?』

「……なに?」

『やっぱり優衣もアメリカに…』

「行かないって言ったでしょ!? お母さんとおじさんと一緒に暮らしたくないの! 家を出ることを許可してくれたのはお母さんたちじゃん」

『でも…陸矢くんは…』

「またりっくんの話!? りっくんに高校のこと教えたのってお母さんなんでしょ? そのせいで私がどれだけ苦労していることか……」

『優衣、話を聞いて』

「もう私寝るから。おやすみ」


そう言って一方的に電話を切った。

後から後悔することになるとは知らずに……

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