家族でも、幼なじみでもなくて。
行き先は、あの日と同じ公園。


「優衣ちゃん」

「なに?」

「……家族になっても、僕のこと好きでいてくれる?」

「わかんない」

「え……?」


たぶんりっくんは「うん」っていう返事を期待していたんだと思う。

ごめんね。

好きでいる自信がないんだ。


「りっくんのことは好きなんだと思う。でも、最近わからなくなってきて……」

「わからなくなった…?」

「うん。昔の好きと今の好きは違うんじゃないかって思ったら、だんだんと自信がなくなってきたの」

「…優衣ちゃん、顔を上げて」


りっくんの声に顔を上げると


「……ん」


突然キスをされた。


「りっくん…?」

「僕は優衣ちゃんのこと、ずっと大好きだから。それだけは忘れないで」

「……うん」

「優衣ちゃん、泣いてるの?」

「な、泣いてない!」

「強がりなところは、昔も今も変わらないね」

「強がってない!」

「そういうところだよ」


そう言って笑うりっくんは、すごく大人に見えた。
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