家族でも、幼なじみでもなくて。
そして、一緒に暮らすようになって1ヶ月が過ぎた。


はじめの頃はなぜか緊張してぎこちなかったけど、だんだん慣れてきた。


でも、りっくんは私に構ってくれなくなった。

怒っているのかと聞いてみたけど、返ってくる言葉は「怒ってないよ」の一言だけ。


私なにかしたのかなぁ。

毎日こればかり考えている。


「ねぇ、太一くん。りっくん怒ってるのかな?」

「怒ってないと思うけど」

「だって、私と話してくれなくなったんだよ? それなのにお母さんとばっかり話してる……私のお母さんなのに!」

「落ち着きなよ」

「お母さんもりっくんばっかり可愛がってるんだよ!? ムカつく……」

「優衣……」

「最近、一緒に登下校してくれなくなったのも何か理由があるのかな……?」

「俺が陸矢に聞いておくよ」

「うん……」


日が経つにつれて、りっくんとの間にある溝は深くなっていった。

< 19 / 68 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop