家族でも、幼なじみでもなくて。
「優衣、もう寝るの?」

「うん」

「おやすみ」

「太一くん、おやすみ」


ベッドに入って目を瞑ると、なぜかりっくんの顔が浮かんできた。


嫌いなのに…大っ嫌いなのに……!

考えたくもないのに、どうして?


胸が、苦しい。


隣の部屋のドアをそっと開けると、部屋の奥で人影が動いた。


「優衣? 眠れないの?」

「うん」

「こっちにおいで」


近くまで行くと、太一くんはそっと私の頭を撫でた。


「怖い夢でも見た?」

「違う。考えたくもないのに、りっくんのことを考えちゃって…眠れないの」

「陸矢のこと、好き?」

「……嫌い、だよ」

「それなら忘れちゃえばいいんだ。全部」

「そんなこと…」

「優衣のペースで、ゆっくり、ね?」

「うん……」

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