家族でも、幼なじみでもなくて。
「太一、起きてる?」


ノックの音とおばさんの声が聞こえた。


太一くんが返事をすると部屋のドアが開いて、おばさんと……


「え!? 陸矢!?」

「太一。優衣と何してた?」


……怖い顔をしたりっくんが入ってきた。


いつも優衣“ちゃん”って呼ぶりっくんが呼び捨てのときは、すごく怒ってる証拠。


「優衣、帰るよ」

「りっくん! こんな時間に迷惑だと思わないの!?」


時刻は夜の10時。
家を抜け出してきたんだ、きっと。


「陸矢! 優衣が嫌がってるだろ!?」

「太一は黙っててよ!」

「私は帰らないから!」


3人の声が響き渡る。


「静かにしなさい!!」


おばさんのこんな声、初めて聞いた……


「何時だと思ってるの?」

「す、すみません……」

「とりあえず今日はもう遅いから、優衣ちゃんと太一は寝なさい。陸矢くんは私が送って行くから」

「……優衣に手出したら許さない」

「陸矢じゃないんだし、そんなことしないよ」


りっくんは太一くんを睨みながら出ていった。
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