家族でも、幼なじみでもなくて。
りっくん、すごく怒ってた。
でも、りっくんが怒る理由なんてある?

私に感謝してほしいくらいだよ。

私がいなくなったことで、お母さんを独り占めできるんだから。


「……また陸矢のこと考えてる」

「ごめん」

「今日は寝よう。明日ちゃんと話そう」

「うん」

「優衣が眠るまで、そばにいてあげるから。部屋に行こうか」


ゆっくり立ち上がって隣の部屋に戻る。

ベッドに入って目を瞑ると、太一くんが「優衣」と優しく私の名前を呼んだ。


「なに?」

「返事しなくていいよ」

「どうして?」

「俺の独り言だから」


そう言って私の目を手で覆った。


太一くんは同じリズムで優しくトントンッとしてくれた。


小さい頃、お母さんにもトントンしてもらってたなぁ。

なんか太一くんってお母さんみたい。
私のこと守ってくれるし、優しいから。


だんだん眠くなってきた……


「おやすみ。優衣」



その日は

太一くんとあの公園で××する夢を見た。
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