家族でも、幼なじみでもなくて。
私の平穏な日常は、いつも彼のせいで壊れてしまう。
ずっとそうだった。
離れたいのに、私がいるところにはなぜか彼がいる。軽いストーカーだ。


「優衣? 大丈夫?」

「…うん」

「あたし、今日はバイトだからこっち。またね!」

「うん! バイバイ!」


愛海と別れて一人で歩く。

あの時から、私の中の歯車が狂い出した。
全部、彼のせいで……


「優衣ちゃーん」

「遂に幻聴が聞こえるようになってしまった…」

「幻聴じゃないよ? 僕はここだよ〜」


寒気がする。顔も見たくない。


「りっくんのストーカー!」

「ストーカーじゃないよ」

「なんでここにいるの!?」

「僕の家、ここだから」

「え……?」

「この前引っ越してきたの。父さんが手続きしてくれたから、優衣ちゃんと同じマンションだなんて知らなかった。本当だよ」

「は? 誰が信じると思う? 私からお母さんを奪ったのも、平穏な日常を奪ったのも、全部りっくんなのに! これ以上壊さないで!」


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