家族でも、幼なじみでもなくて。
「優衣ちゃん、おはよう」

「おはようございます。太一くんは…」

「太一はスイミングに行ったの。10時半には帰ってくると思うよ」

「そうですか」

「朝ごはんできてるから、座って」

「ありがとうございます」


……りっくんはサッカークラブの合宿だったはずだから、今日は家にはいない。


また、りっくんのこと考えちゃった。


「優衣ちゃん、大丈夫?」

「え?」

「昨日のこともあるし……」

「昨日はすみませんでした」

「私も怒鳴っちゃってごめんね」

「おばさんは全然悪くないです!」


……私が悪い。

私のせいだ。


「こんなこと言ってもいいのかわからないけど、家に帰りたくないならいつまででもここにいていいよ」

「そんなことはできないです」

「でも、家に帰りたくないんでしょ?」

「それは…」


そうだけど。
迷惑なんてかけられないから……


「じゃあ、寮に入ったらどうかな?」

「寮?」

「あと1年で卒業でしょ? 少し勉強を頑張らないといけないかもしれないけど、中学校は全寮制の学校に通うの。円香も全寮制の学校に通っていたのよ」

「お母さんが許してくれないと思います……」

「話してみないとわからないよ。困ったことがあったらおばさんに任せて!」

「……はい。ありがとうございます」


おばさんがこんなに優しいから太一くんも優しいんだね。

素敵なお母さんだなぁ。

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